2022-09-01から1ヶ月間の記事一覧
伊勢(19番)『新古今集』恋一・1049 難波潟 みじかき芦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや 〜難波潟の入り江に茂っている芦の、 短い節と節の間のような短い時間でさえもお会いしたいのに、 それも叶わず、この世を過していけとおっしゃるのでし…
藤原敏行朝臣(18番) 『古今集』恋・559 住の江の 岸に寄る波 よるさへや 夢のかよひ路 人目よくらむ 〜住之江の岸に寄せる波の「よる」という言葉ではないけれど、 夜でさえ、夢の中で私のもとへ通う道でさえ、 どうして貴方は人目を避けて、会いに来てく…
在原業平朝臣(17番)『古今集』秋・294 ちはやふる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは ちはやふる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは 〜神代の昔にも聞いたことがない。竜田川の水の流れを深紅にくくり染めにするとは。 『古…
神話の地 白兎海岸 【在原行平】(16番)『古今集』離別・365 たち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む 〜お別れして、因幡の国へ行く私ですが、 因幡の稲羽山の峰に生えている松の木のように、 私の帰りを待つと聞いたなら、すぐに帰…
光孝天皇(15番)古今集春・21 君がため 春の野に出でて 若菜摘む 我が衣手に 雪は降りつつ❄️ 〜あなたに差し上げるために、春の野原に出て若菜を摘んでいる。 その私の着物の袖に雪がしきりに降りかかっている。 【光孝天皇】(830-887) 仁明天皇の皇子。陽…
河原左大臣【源 融 みなもとのとおる】(14番)『古今集』恋四・724 陸奥(みちのく)の しのぶもぢずり 誰(たれ)ゆゑに 乱れそめにし われならなくに 〜奥州のしのぶもじずりの乱れ模様のように、私の心も乱れていますが、 いったい誰のためにこのように思…
陽成院(13番)『後撰集』恋・777 筑波嶺の みねより落つる みなの川 恋ぞつもりて 淵となりぬる 〜筑波山の峯から流れてくるみなの川も、 やがては深い淵をつくるように、私の恋もしだいに積もり、 今では淵のように深いものとなってしまったよ。 陽成院(よ…
小野小町 (9番) 『古今集』春・113 花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに 〜長雨が降っていた間に、桜は儚く散ってしまいました。 私の容姿も衰えてしまったのです、物思いをしている間に。 平安時代前期9世紀頃の女流歌人で…
(7番)古今集 羇旅・406 天の原 ふりさけ見れば 春日なる三笠の山に いでし月かも 〜広い空を振り仰いで眺めると、美しい月が出ている。 あの月はきっと故郷である春日の三笠の山に出た月と同じ月だろう。 阿部仲麻呂 あべのなかまろ( 701~770年) 若くして…
中納言家持(6番)『新古今集』冬・620 かささぎの 渡せる橋に おく霜の 白きを見れば 夜ぞ更けにける 〜七夕の夜は天の川にカササギが翼を広げて橋を作り、牽牛・織女の仲立ちをするという。 そのカササギが渡した橋に霜が降り積もっているように 夜空は星…