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源氏物語&古典文学を聴く🪷〜少納言チャンネル&古文🌿

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【源氏85 第六帖 末摘花5】頭中将はちゃっかり常陸宮の姫に手紙を送る。源氏は中将をじらすが自分も返事が来ていないのは同じ

【古文】

「しかしかの返り事は見たまふや。

 試みにかすめたりしこそ、はしたなくて止みにしか」

と、憂ふれば、

「さればよ、言ひ寄りにけるをや」

と、ほほ笑まれて、

「いさ、見むとしも思はねばにや、見るとしもなし」

と、答へたまふを、

「人わきしける」

と思ふに、いとねたし。

君は、深うしも思はぬことの、かう情けなきを、

すさまじく思ひなりたまひにしかど、

かうこの中将の言ひありきけるを、

「言多く言ひなれたらむ方にぞ靡かむかし。

 したり顔にて、

 もとのことを思ひ放ちたらむけしきこそ、

 憂はしかるべけれ」

と思して、命婦をまめやかに語らひたまふ。

「おぼつかなく、もて離れたる御けしきなむ、

 いと心憂き。

 好き好きしき方に疑ひ寄せたまふにこそあらめ。

 さりとも、短き心ばへつかはぬものを。

 人の心ののどやかなることなくて、

 思はずにのみあるになむ、

 おのづからわがあやまちにもなりぬべき。

 心のどかにて、

 親はらからのもてあつかひ恨むるもなう、

 心やすからむ人は、なかなかなむらうたかるべきを」

とのたまへば、

「いでや、さやうにをかしき方の御笠宿りには、

 えしもやと、

 つきなげにこそ見えはべれ。

 ひとへにものづつみし、ひき入りたる方はしも、

 ありがたうものしたまふ人になむ」

と、見るありさま語りきこゆ。

「らうらうじう、かどめきたる心はなきなめり。

 いと子めかしうおほどかならむこそ、

 らうたくはあるべけれ」

と思し忘れず、のたまふ。

瘧病みにわづらひたまひ、

人知れぬもの思ひの紛れも、

御心のいとまなきやうにて、春夏過ぎぬ。

 

与謝野晶子訳】

常陸の宮の返事が来ますか?

 私もちょっとした手紙をやったのだけれど何にも言って来ない。

 侮辱された形ですね」

自分の想像したとおりだ、

頭中将はもう手紙を送っているのだと思うと

源氏はおかしかった。

「返事を格別見たいと思わない女だからですか、

 来たか来なかったかよく覚えていませんよ」

源氏は中将をじらす気なのである。

返事の来ないことは同じなのである。

中将は、そこへ行きこちらへは来ないのだと口惜しがった。

源氏はたいした執心を持つのでない女の 冷淡な態度に

厭気《いやき》がして捨てて置く気になっていたが、

頭中将の話を聞いてからは、

口上手な中将のほうに女は取られてしまうであろう、

女はそれで好《い》い気になって、

初めの求婚者のことなどは、

それは よしてしまったと

冷ややかに自分を見くびるであろうと思うと、

あるもどかしさを覚えたのである。

それから大輔《たゆう》命婦《みょうぶ》に

まじめに仲介を頼んだ。

「いくら手紙をやっても冷淡なんだ。

 私がただ一時的な浮気で、

 そうしたことを言っているのだと解釈しているのだね。

 私は女に対して薄情なことのできる男じゃない。

 いつも相手のほうが気短に私からそむいて行くことから

 悪い結果にもなって、

 結局私が捨ててしまったように言われるのだよ。

 孤独の人で、

 親や兄弟が夫婦の中を干渉するようなうるさいこともない、

 気楽な妻が得られたら、

 私は十分に愛してやることができるのだ」

「いいえ、そんな、

 あなた様が十分にお愛しになるようなお相手に

 あの方はなられそうもない気がします。

 非常に内気で、

 おとなしい点はちょっと珍らしいほどの方ですが」

命婦は自分の知っているだけのことを源氏に話した。

「貴婦人らしい聡明さなどが見られないのだろう、

 いいのだよ、無邪気でおっとりとしていれば私は好きだ」

命婦に逢《あ》えばいつもこんなふうに源氏は言っていた。

その後源氏は瘧病《わらわやみ》になったり、

病気がなおると少年時代からの苦しい恋の悩みに

世の中に忘れてしまうほどに物思いをしたりして、

この年の春と夏とが過ぎてしまった。

【源氏81 第六帖 末摘花1】

乳母子の大輔の命婦から亡き常陸宮の姫君の噂を聞いた源氏は、

「零落した悲劇の姫君」という幻想に憧れと好奇心を抱いて求愛した。

親友の頭中将とも競い合って逢瀬を果たしたものの、

彼女の対応の覚束なさは源氏を困惑させた。

さらにある雪の朝、

姫君の顔をのぞき見た光源氏はその醜さに仰天する。

その後もあまりに世間知らずな言動の数々に辟易しつつも、

源氏は彼女の困窮ぶりに同情し、

また素直な心根に見捨てられないものを感じて、

彼女の暮らし向きへ援助を行うようになった。

二条の自宅で源氏は鼻の赤い女人の絵を描き、

さらに自分の鼻にも赤い絵の具を塗って、

若紫と兄妹のように戯れるのだった。

 

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