2023-05-27から1日間の記事一覧
能因法師(69番)後拾遺集 秋・366 嵐吹く みむろの山の もみぢ葉は 龍田の川の 錦なりけり 〜激しい風によって 吹き散らされた三室の山のもみじ葉は、 やがて竜田の川に散り、 水面を錦織の布のように 鮮やかに彩っているよ 能因法師 のういんほうし (988…
【三条院 】(68番)後拾遺集 雑1・860 心にも あらでうき世に ながらへば 恋しかるべき 夜半の月かな 〜自分の本心に反して、 思うままにならないつらい世の中。 生き永らえていたならば、 その時はきっと恋しく思い出すに違いない。 今夜のこの美しい月の…
【周防内侍 】(67番)千載集 雑・961 春の夜の 夢ばかりなる 手枕に かひなくたたむ 名こそをしけれ 春の夜のはかない夢のように、 あなたの腕を枕にしたりして、 それでつまらない噂が 立つことにでもなれば、 それがまことに残念なのです。 周防内侍 すお…
前大僧正行尊 66番 金葉集』雑・556 もろともに あはれと思へ山桜 花よりほかに 知る人もなし 〜私がお前に親しみを感じるように、お前も一緒に私のことを 懐かしく思っておくれ。 山桜よ。お前以外に私の心を 本当に知ってくれるものは いないのだから。 前…
相模(65番)後拾遺集 恋・815 恨みわび ほさぬ袖だに あるものを 恋に朽ちなむ 名こそ惜しけれ 〜つれない人を恨み悲しんで流す涙で、 乾くときもないこの袖さえ 朽ちずに残っているのに、 恋の噂で朽ちてしまう私の名が 惜しいことです。 相模 さがみ (99…
権中納言定頼(64番)千載集 冬・419 朝ぼらけ 宇治の川霧 たえだえに あらはれわたる瀬々の網代木 〜朝、だんだんと明るくなってくる頃、 宇治川に立ち込めた川霧が とぎれとぎれに晴れていき その霧の間から、しだいに現れてくる あちらこちらの川瀬に仕掛…
左京大夫道雅(63番) 後拾遺集 恋・750 今はただ 思ひ絶えなむ とばかりを 人づてならで 言ふよしもがな 〜今となっては、 あなたへの想いをあきらめてしまおう ということだけを、 人づてにではなく言う方法が あってほしいものだ。 藤原道雅 ふじわらのみ…
清少納言(62番) 後拾遺集 雑・940 夜をこめて 鳥の空音は 謀るとも よに逢坂の 関は許さじ 〜夜がまだ明けないうちに、 鶏の鳴き真似をして人をだまそうとしても、 函谷関(かんこくかん)ならともかく、 この逢坂の関は決して許しませんよ。 (だまそうと…