2023-10-25から1日間の記事一覧
この君の御童姿、 いと変へまうく思せど、 十二にて御元服したまふ。 居起ち思しいとなみて、 限りある事に事を添へさせたまふ。 一年の春宮の御元服、 南殿にてありし儀式、 よそほしかりし御響きに落とさせたまはず。 所々の饗など、 内蔵寮、穀倉院など、…
母后、 「あな恐ろしや。 春宮の女御のいとさがなくて、 桐壺の更衣の、 あらはにはかなくもてなされにし例もゆゆしう」と、 思しつつみて、 すがすがしうも思し立たざりけるほどに、 后も亡せたまひぬ。 心細きさまにておはしますに、 「ただ、わが女皇女た…
そのころ、高麗人の参れる中に、 かしこき相人ありけるを聞こし召して、 宮の内に召さむことは、 宇多の帝の御誡めあれば、 いみじう忍びて、 この御子を鴻臚館に遣はしたり。 御後見だちて仕うまつる右大弁の子のやうに思はせて 率てたてまつるに、相人驚き…