2023-10-28から1日間の記事一覧
女房 「いといたうまめだちて。 まだきに、やむごとなきよすが定まりたまへるこそ、 さうざうしかめれ」 女房 「されど、さるべき隈には、よくこそ、隠れ歩きたまふなれ」 など言ふにも、 思すことのみ心にかかりたまへば、まづ胸つぶれて、 「かやうのつい…
暗くなるほどに、 女房 「今宵、中神、内裏よりは塞がりてはべりけり」 と聞こゆ。 源氏 「さかし、例は忌みたまふ方なりけり。 二条の院にも同じ筋にて、いづくにか違へむ。 いと悩ましきに」 とて大殿籠もれり。 「いと悪しきことなり」 と、これかれ聞こ…
左馬頭 「すべて男も女も悪ろ者は、 わづかに知れる方のことを残りなく見せ尽くさむと思へるこそ、 いとほしけれ。 三史五経、道々しき方を、 明らかに悟り明かさむこそ、愛敬なからめ、などかは、 女といはむからに、世にあることの公私につけて、 むげに知…
頭中将 「式部がところにぞ、けしきあることはあらむ。 すこしづつ語り申せ」 と責めらる。 式部丞 「下が下の中には、なでふことか、聞こし召しどころはべらむ」 と言へど、 頭の君、まめやかに「遅し」と責めたまへば、 何事をとり申さむと思ひめぐらすに…