その年の夏、
御息所、はかなき心地にわづらひて、
まかでなむとしたまふを、
暇さらに許させたまはず。
年ごろ、常の篤しさになりたまへれば、御目馴れて、
「なほしばしこころみよ」
とのみのたまはするに、
日々に重りたまひて、
ただ五六日のほどにいと弱うなれば、
母君泣く泣く奏して、
まかでさせたてまつりたまふ。
その年の夏のことである。
御息所《みやすどころ》ーー皇子女《おうじじょ》の生母になった更衣は
こう呼ばれるのである——はちょっとした病気になって、
実家へさがろうとしたが帝はお許しにならなかった。
どこかからだが悪いということはこの人の常のことになっていたから、
帝はそれほどお驚きにならずに、
「もうしばらく御所で養生をしてみてからにするがよい」
と言っておいでになるうちにしだいに悪くなって、
そうなってからほんの五、六日のうちに病は重体になった。
母の未亡人は泣く泣くお暇を願って帰宅させることにした。
💐🎼慕情 written by ハシマミ💐
💠少納言チャンネルは、聴く古典として動画を作っております。ぜひチャンネル登録お願いします🌷
少納言のホームページ 源氏物語&古典 syounagon-web ぜひご覧ください🪷 https://syounagon-web-1.jimdosite.com
🪷第1帖 桐壺(きりつぼ)ぜひ ご覧ください
第一帖 桐壺(きりつぼ)源氏物語 カテゴリーの記事一覧 - 源氏物語&古典🪷〜笑う門には福来る🌸少納言日記🌸