いとにほひやかにうつくしげなる人の、
いたう面痩せて、
いとあはれとものを思ひしみながら、
言に出でても聞こえやらず、
あるかなきかに消え入りつつものしたまふを御覧ずるに、
来し方行く末思し召されず、
よろづのことを泣く泣く契りのたまはすれど、
御いらへもえ聞こえたまはず‥
はなやかな顔だちの美人が非常に痩《や》せてしまって、
心の中には帝とお別れして行く無限の悲しみがあったが
口へは何も出して言うことのできないのがこの人の性質である。
あるかないかに弱っているのを御覧になると
帝は過去も未来も
真暗《まっくら》になった気があそばすのであった。
泣く泣くいろいろな頼もしい将来の約束をあそばされても
更衣はお返辞もできないのである。
🪷🎼悲しいとき… written by のる 🪷
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