唐土にも、かかる事の起りにこそ、
世も乱れあしかりけれと、
やうやう、天の下にも、
あぢきなう人のもてなやみぐさになりて、
楊貴妃の例も引き出でつべくなりゆくに、
いとはしたなきこと多かれど、
かたじけなき御心ばへのたぐひなきを頼みにてまじらひたまふ。
唐の国でもこの種類の寵姫《ちょうき》、
楊家《ようか》の女《じょ》の出現によって
乱が醸《かも》されたなどと蔭《かげ》ではいわれる。
今やこの女性が一天下の煩《わざわ》いだとされるに至った。
馬嵬《ばかい》の駅がいつ再現されるかもしれぬ。
その人にとっては堪えがたいような苦しい雰囲気の中でも、
ただ深い御愛情だけをたよりにして暮らしていた。
父の大納言《だいなごん》はもう故人であった。
母の未亡人が生まれのよい見識のある女で、
わが娘を現代に勢力のある派手な家の娘たちに
ひけをとらせないよき保護者たりえた。
それでも大官の後援者を持たぬ更衣は、
何かの場合にいつも心細い思いをするようだった。
💠🎼 とどまる哀しみ written by Ryota Yamada💠
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