🪷ともかくもならむを御覧じはてむと思し召すに、
「今日始むべき祈りども、
さるべき人びとうけたまはれる、今宵より」と、
聞こえ急がせば、
わりなく思ほしながらまかでさせたまふ。
御胸つとふたがりて、つゆまどろまれず、
明かしかねさせたまふ。
御使の行き交ふほどもなきに、
なほいぶせさを限りなくのたまはせつるを、
「夜半うち過ぐるほどになむ、絶えはてたまひぬる」
とて泣き騒げば、
御使もいとあへなくて帰り参りぬ。
🪷死ぬのであったらこのまま自分のそばで死なせたいと
帝は思召《おぼしめ》したが、
今日から始めるはずの祈祷《きとう》も高僧たちが承っていて、
それもぜひ今夜から始めねばなりませぬ
というようなことも申し上げて
方々から更衣の退出を促すので、
別れがたく思召しながらお帰しになった。
帝はお胸が悲しみでいっぱいになって
お眠りになることが困難であった。
帰った更衣の家へお出しになる尋ねの使いはすぐ帰って来るはずであるが、
それすら返辞を聞くことが待ち遠しいであろうと仰せられた帝であるのに、
お使いは、
「夜半過ぎにお卒去《かくれ》になりました」
と言って、故大納言家の人たちの泣き騒いでいるのを見ると
力が落ちてそのまま御所へ帰って来た。
🪷🎼慕情 written by ハシマミ🪷
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