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源氏物語&古典文学を聴く🪷〜少納言チャンネル&古文🌿

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🐴よ💢何言うてまんねん🔥【源氏物語 16 第2帖 箒木5】馬頭、物定めの博士になりて、ひひらきゐたり。中将は、このことわり聞き果てむと、心入れて、あへしらひゐたまへり。

🪻ともかくも、違ふべきふしあらむを、

 のどやかに見忍ばむよりほかに、

 ますことあるまじかりけり」

 馬頭、物定めの博士になりて、ひひらきゐたり。

 中将は、このことわり聞き果てむと

 心入れて、あへしらひゐたまへり。

左馬頭

「よろづのことによそへて思せ。

 木の道の匠のよろづの物を心にまかせて作り出だすも、

 臨時のもてあそび物の、その物と跡も定まらぬは、

 そばつきさればみたるも、

 げにかうもしつべかりけりと、

 時につけつつさまを変へて、

 今めかしきに目移りてをかしきもあり。

 大事として、

 まことにうるはしき人の調度の飾りとする、

 定まれるやうある物を難なくし出づることなむ、

 なほまことの物の上手は、

 さまことに見え分かれはべる。

 

 また絵所に上手多かれど、

 墨がきに選ばれて、

 次々にさらに劣りまさるけぢめ、

 ふとしも見え分かれず。

 かかれど、

 人の見及ばぬ蓬莱の山、荒海の怒れる魚の姿、

 唐国のはげしき獣の形、目に見えぬ鬼の顔などの、

 おどろおどろしく作りたる物は、

 心にまかせてひときは目驚かして、

 実には似ざらめど、さてありぬべし。

 

 世の常の山のたたずまひ、

 水の流れ、目に近き人の家居ありさま、

 げにと見え、

 なつかしくやはらいだる形などを静かに描きまぜて、

 すくよかならぬ山の景色、木深く世離れて畳みなし、

 け近き籬の内をば、その心しらひおきてなどをなむ、

 上手はいと勢ひことに、悪ろ者は及ばぬ所多かめる。

 

 手を書きたるにも、深きことはなくて、

 ここかしこの、点長に走り書き、そこはかとなく気色ばめるは、

 うち見るにかどかどしく気色だちたれど、

 なほまことの筋をこまやかに書き得たるは、

 うはべの筆消えて見ゆれど、

 今ひとたびとり並べて見れば、

 なほ実になむよりける。

 

 はかなきことだにかくこそはべれ。

 まして人の心の、

 時にあたりて気色ばめらむ見る目の情けをば、

 え頼むまじく思うたまへ得てはべる。

 そのはじめのこと、

 好き好きしくとも申しはべらむ」

 とて、近くゐ寄れば、君も目覚ましたまふ。

 中将いみじく信じて、

 頬杖をつきて向かひゐたまへり。

 法の師の世のことわり説き聞かせむ所の心地するも、

 かつはをかしけれど、かかるついでは、

 おのおの睦言もえ忍びとどめずなむありける。

 

🪻左馬頭《さまのかみ》は 

女の品定めの審判者であるというような得意な顔をしていた。

中将は左馬頭にもっと語らせたい心があって

しきりに相槌《あいづち》を打っているのであった。

 

「まあほかのことにして考えてごらんなさい。

 指物師《さしものし》がいろいろな製作をしましても、

 一時的な飾り物で、 決まった形式を必要としないものは、

 しゃれた形をこしらえたものなどに、

 これはおもしろいと思わせられて、

 いろいろなものが、

 次から次へ新しい物がいいように思われますが、

 ほんとうにそれがなければならない道具というような物を

 上手にこしらえ上げるのは名人でなければできないことです。

 

また絵所《えどころ》に幾人も画家がいますが

 席上の絵の描《か》き手に選ばれておおぜいで出ます時は、 

 どれがよいのか悪いのかちょっとわかりませんが、

 非写実的な蓬莱山《ほうらいさん》とか、

 荒海の大魚とか、

 唐《から》にしかいない恐ろしい獣の形とかを描く人は、

 勝手ほうだいに誇張したもので人を驚かせて、

 それは実際に遠くてもそれで通ります。

 

 普通の山の姿とか、 水の流れとか、

 自分たちが日常見ている美しい家や何かの図を

 写生的におもしろく混ぜて描き、

 われわれの近くにあるあまり高くない山を描き、

 木をたくさん描き、静寂な趣を出したり、

 あるいは人の住む邸《やしき》の中を忠実に描くような時に

 上手《じょうず》と下手《へた》の差がよくわかるものです。

 

 字でもそうです。 深味がなくて、

 あちこちの線を長く引いたりするのに技巧を用いたものは、

 ちょっと見がおもしろいようでも、

 それと比べてまじめに丁寧に書いた字で

 見栄《みば》えのせぬものも、

 二度目によく比べて見れば 技巧だけで書いた字よりも

 よく見えるものです ちょっとしたことでもそうなんです、

 

 まして人間の問題ですから、

 技巧でおもしろく思わせるような人には

 永久の愛が持てないと私は決めています。

 好色がましい多情な男にお思いになるかもしれませんが、

 以前のことを少しお話しいたしましょう」  

と言って、左馬頭は膝《ひざ》を進めた。

源氏も目をさまして聞いていた。

中将は左馬頭の見方を尊重するというふうを見せて、

頬杖《ほおづえ》をついて正面から相手を見ていた。

坊様が過去未来の道理を説法する席のようで、

おかしくないこともないのであるが、

この機会に各自の恋の秘密を持ち出されることになった。

 

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