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妻を大事にしようよ😭【源氏物語 18 第2帖 箒木 7】ありしながらは、えなむ見過ぐすまじき。あらためてのどかに思ひならばなむ、あひ見るべき など言ひしを‥

🌷憂きふしを 心ひとつに 数へきて

  こや君が手を 別るべきをり 

 など、言ひしろひはべりしかど、

 まことには変るべきこととも思ひたまへずながら、

 日ごろ経るまで消息も遣はさず、

 あくがれまかり歩くに、

 臨時の祭の調楽に、

 夜更けていみじう霙降る夜、

 これかれまかりあかるる所にて、

 思ひめぐらせば、

 なほ家路と思はむ方はまたなかりけり。

 

 内裏わたりの旅寝すさまじかるべく、

 気色ばめるあたりはそぞろ寒くや、

 と思ひたまへられしかば、

 いかが思へると、気色も見がてら、

 雪をうち払ひつつ、なま人悪ろく爪喰はるれど、

 さりとも今宵日ごろの恨みは解けなむ、

 と思うたまへしに、

 火ほのかに壁に背け、萎えたる衣どもの厚肥えたる、

 大いなる籠にうち掛けて、

 引き上ぐべきものの帷子などうち上げて、

 今宵ばかりやと、待ちけるさまなり。

 さればよと、心おごりするに、正身はなし。

 さるべき女房どもばかりとまりて、

 『親の家に、この夜さりなむ渡りぬる』

 と答へはべり。

 

 艶なる歌も詠まず、気色ばめる消息もせで、

 いとひたや籠もりに情けなかりしかば、

 あへなき心地して、さがなく許しなかりしも、

 我を疎みねと思ふ方の心やありけむと、

 さしも見たまへざりしことなれど、

 心やましきままに思ひはべりしに、

 着るべき物、常よりも心とどめたる色あひ、

 しざまいとあらまほしくて、

 さすがにわが見捨ててむ後をさへなむ、

 思ひやり後見たりし。

 

 さりとも、

 絶えて思ひ放つやうはあらじと思うたまへて、

 とかく言ひはべりしを、背きもせずと、

 尋ねまどはさむとも隠れ忍びず、

 かかやかしからず答へつつ、

 ただ、

『ありしながらは、えなむ見過ぐすまじき。

 あらためてのどかに思ひならばなむ、

 あひ見るべき』

 など言ひしを、

 さりともえ思ひ離れじと思ひたまへしかば、

 しばし懲らさむの心にて、

 『しかあらためむ』

 とも言はず、

 いたく綱引きて見せしあひだに、

 いといたく思ひ嘆きて、

 はかなくなりはべりにしかば、

 戯れにくくなむおぼえはべりし。

 ひとへにうち頼みたらむ方は、

 さばかりにてありぬべくなむ思ひたまへ出でらるる。

 

 はかなきあだ事をもまことの大事をも、

 言ひあはせたるにかひなからず、

 龍田姫と言はむにもつきなからず、

 織女の手にも劣るまじくその方も具して、

 うるさくなむはべりし」

とて、いとあはれと思ひ出でたり。

 中将、

「その織女の裁ち縫ふ方をのどめて、

 長き契りにぞあえまし。

 げに、その龍田姫の錦には、またしくものあらじ。

 はかなき花紅葉といふも、をりふしの色あひつきなく、

 はかばかしからぬは、露のはえなく消えぬるわざなり。

 さあるにより、難き世とは定めかねたるぞや」

と、言ひはやしたまふ。

 

 

🌷憂きふしを 心ひとつに 数へきて

  こや君が手を 別るべきをり

反抗的に言ったりもしましたが、

本心ではわれわれの関係が解消されるものでないことをよく承知しながら、

幾日も幾日も手紙一つやらずに私は勝手な生活をしていたのです。

加茂《かも》の臨時祭りの調楽《ちょうがく》が御所であって、

更《ふ》けて、それは霙《みぞれ》が降る夜なのです。

皆が退散する時に、

自分の帰って行く家庭というものを考えると

その女の所よりないのです。

 

御所の宿直室で寝るのもみじめだし、

また恋を風流遊戯にしている局の女房を訪ねて行くことも

寒いことだろうと思われるものですから、

どう思っているのだろうと様子も見がてらに雪の中を、

少しきまりが悪いのですが、

こんな晩に行ってやる志で

女の恨みは消えてしまうわけだと思って、

はいって行くと、 暗い灯を壁のほうに向けて据え、

暖かそうな柔らかい 綿のたくさんはいった着物を

大きな あぶり籠《かご》に掛けて、

私が寝室へはいる時に上げる几帳《きちょう》のきれも上げて、

こんな夜にはきっと来るだろうと待っていたふうが見えます。

そう思っていたのだと私は得意になりましたが、

妻自身はいません。

何人かの女房だけが留守をしていまして、

父親の家へちょうどこの晩移って行ったというのです。

 

艶《えん》な歌も詠んで置かず、

気のきいた言葉も残さずに、

じみにすっと行ってしまったのですから、

つまらない気がして、

かましく嫉妬をしたのも

私にきらわせるためだったのかもしれないなどと、

むしゃくしゃするものですからありうべくもないことまで

忖度《そんたく》しましたものです。

しかし考えてみると

用意してあった着物なども平生以上によくできていますし、

そういう点では実にありがたい親切が見えるのです。

 

自分と別れた後のことまでも世話していったのですからね、

彼女がどうして別れうるものかと私は慢心して、

それからのち手紙で交渉を始めましたが、

私へ帰る気がないでもないようだし、

まったく知れない所へ隠れてしまおうともしませんし、

あくまで反抗的態度を取ろうともせず、

『前のようなふうでは我慢ができない、

すっかり生活の態度を変えて、

一夫一婦の道を取ろうとお言いになるのなら』

と言っているのです。

そんなことを言っても負けて来るだろうという自信を持って、

しばらく懲らしてやる気で、 一婦主義になるとも言わず、

話を長引かせていますうちに、

非常に精神的に苦しんで死んでしまいましたから、

私は自分が責められてなりません。

 

家の妻というものは、

あれほどの者でなければならないと今でもその女が思い出されます。

風流ごとにも、 まじめな問題にも話し相手にすることができましたし、

また家庭の仕事はどんなことにも通じておりました。

染め物の立田《たつた》姫にもなれたし、

七夕《たなばた》の織姫にもなれたわけです」

と語った左馬頭は、いかにも亡《な》き妻が恋しそうであった。

 

「技術上の織姫でなく、

 永久の夫婦の道を行っている七夕姫だったらよかったですね。

 立田姫もわれわれには必要な神様だからね。

 男にまずい服装をさせておく細君はだめですよ。

 そんな人が早く死ぬんだから、

 いよいよ良妻は得がたいということになる」

中将は指をかんだ女をほめちぎった。

 

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