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源氏物語&古典文学を聴く🪷〜少納言チャンネル&古文🌿

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言いたい放題💦雨夜の男子会☔️😅【源氏物語 13 第2帖 箒木2】世の好き者にて物よく言ひとほれるを、中将待ちとりて、この品々をわきまへ定め争ふ。いと聞きにくきこと多かり。

「そこにこそ多く集へたまふらめ。

 すこし見ばや。

 さてなむ、この厨子も心よく開くべき」

とのたまへば、

〔頭中将〕

「御覧じ所あらむこそ、難くはべらめ」

など聞こえたまふついでに、

「女の、これはしもと難つくまじきは、難くもあるかなと、

 やうやうなむ見たまへ知る。

 ただうはべばかりの情けに、手走り書き、

 をりふしの答へ心得て、うちしなどばかりは、

 随分によろしきも多かりと見たまふれど、

 そもまことにその方を取り出でむ選びにかならず漏るまじきは、

 いと難しや。

 わが心得たることばかりを、

 おのがじし心をやりて、

 人をば落としめなど、かたはらいたきこと多かり。

 

 親など立ち添ひもてあがめて、生ひ先籠れる窓の内なるほどは、

 ただ片かどを聞き伝へて、心を動かすこともあめり。

 容貌をかしくうちおほどき、若やかにて紛るることなきほど、

 はかなきすさびをも、人まねに心を入るることもあるに、

 おのづから一つゆゑづけてし出づることもあり。

 

 見る人、後れたる方をば言ひ隠し、

 さてありぬべき方をばつくろひて、

 まねび出だすに、『それ、しかあらじ』と、

 そらにいかがは推し量り思ひくたさむ。

 まことかと見もてゆくに、

 見劣りせぬやうは、なくなむあるべき」

と、うめきたる気色も恥づかしげなれば、

いとなべてはあらねど、

われ思し合はすることやあらむ、うちほほ笑みて

源氏

「その、片かどもなき人は、あらむや」とのたまへば、

頭中将

「いと、さばかりならむあたりには、誰れかはすかされ寄りはべらむ。

 取るかたなく口惜しき際と、優なりとおぼゆばかりすぐれたるとは、

 数等しくこそはべらめ。

 人の品高く生まれぬれば、人にもてかしづかれて、

 隠るること多く、自然にそのけはひこよなかるべし。

 中の品になむ、人の心々、おのがじしの立てたるおもむきも見えて

 分かるべきことかたがた多かるべき。

 下のきざみといふ際になれば、ことに耳たたずかし」

とて、いと隈なげなる気色なるも、ゆかしくて、

源氏

「その品々や、いかに。

 いづれを三つの品に置きてか分くべき。

 元の品高く生まれながら、身は沈み、位みじかくて人げなき。

 また直人の上達部などまでなり上り、我は顔にて家の内を飾り、

 人に劣らじと思へる。

 そのけぢめをば、いかが分くべき」

と問ひたまふほどに、

左馬頭、藤式部丞御物忌に籠もらむとて参れり。

世の好き者にて物よく言ひとほれるを、中将待ちとりて、

この品々をわきまへ定め争ふ。

いと聞きにくきこと多かり。

頭中将

「なり上れども、もとよりさるべき筋ならぬは、

 世人の思へることも、さは言へど、なほことなり。

 また、元はやむごとなき筋なれど、

 世に経るたづき少なく、時世に移ろひて、おぼえ衰へぬれば、

 心は心としてこと足らず、

 悪ろびたることども出でくるわざなめれば、

 とりどりにことわりて、中の品にぞ置くべき。

 

 受領と言ひて、人の国のことにかかづらひ営みて、

 品定まりたる中にも、またきざみきざみありて、

 中の品のけしうはあらぬ、選り出でつべきころほひなり。

 なまなまの上達部よりも非参議の四位どもの、

 世のおぼえ口惜しからず、もとの根ざし卑しからぬ、

 やすらかに身をもてなしふるまひたる、

 いとかはらかなりや。

 

 家の内に足らぬことなど、はたなかめるままに、

 省かずまばゆきまでもてかしづける 

 女などの、おとしめがたく生ひ出づるもあまたあるべし。

 宮仕へに出で立ちて、思ひかけぬ幸ひとり出づる例ども多かりかし」

など言へば、

源氏

「すべて、にぎははしきによるべきななり」とて、笑ひたまふを、‥

 

「あなたこそ女の手紙はたくさん持っているでしょう。

 少し見せてほしいものだ。 そのあとなら棚のを全部見せてもいい」

「あなたの御覧になる価値のある物はないでしょうよ」  

こんな事から頭中将は女についての感想を言い出した。

 

「これならば完全だ、 欠点がないという女は少ないものであると

 私は今やっと気がつきました。

 ただ上っつらな感情で達者な手紙を書いたり、

 こちらの言うことに理解を持っているような利巧《りこう》らしい人は

 ずいぶんあるでしょうが、 しかもそこを長所として取ろうとすれば、

 きっと合格点にはいるという者はなかなかありません。

 自分が少し知っていることで得意になって、

 ほかの人を軽蔑することのできる 厭味《いやみ》な女が多いんですよ。

 

 親がついていて、 大事にして、 深窓に育っているうちは、

 その人の片端だけを知って男は自分の想像で十分補って

 恋をすることになるというようなこともあるのですね。

 顔がきれいで、 娘らしくおおようで、

 そしてほかに用がないのですから、

 そんな娘には一つくらいの芸の上達が望めないこともありませんからね。

 

 それができると、 仲に立った人間がいいことだけを話して 、

 欠点は隠して言わないものですから、

 そんな時にそれはうそだなどと、

 こちらも空で断定することは不可能でしょう 、

 真実だろうと思って結婚したあとで、

 だんだんあらが出てこないわけはありません」

中将がこう言って歎息《たんそく》した時に、

そんなありきたりの結婚失敗者ではない源氏も、

何か心にうなずかれることがあるか微笑をしていた。

 

「あなたが今言った、一つくらいの芸ができるというほどのとりえね、

 それもできない人があるだろうか」

「そんな所へは初めからだれもだまされて行きませんよ、

 何もとりえのないのと、

 すべて完全であるのとは同じほどに少ないものでしょう。

 上流に生まれた人は大事にされて、

 欠点も目だたないで済みますから、その階級は別ですよ。

 中の階級の女によってはじめてわれわれはあざやかな、

 個性を見せてもらうことができるのだと思います。

 またそれから一段下の階級にはどんな女がいるのだか、 

 まあ私にはあまり興味が持てない」

こう言って、通《つう》を振りまく中将に、

源氏はもう少しその観察を語らせたく思った。

 

「その階級の別はどんなふうにつけるのですか。

 上、中、下を何で決めるのですか。

 よい家柄でもその娘の父は不遇で、

 みじめな役人で貧しいのと、

 並み並みの身分から高官に成り上がっていて、

 それが得意で贅沢な生活をして、

 初めからの貴族に負けないふうでいる家の娘と、

 そんなのはどちらへ属させたらいいのだろう」  

こんな質問をしている所へ、

左馬頭《さまのかみ》と藤式部丞《とうしきぶのじょう》とが、

源氏の謹慎日を共にしようとして出て来た。

風流男という名が通っているような人であったから、

中将は喜んで左馬頭を問題の中へ引き入れた。

不謹慎な言葉もそれから多く出た。

 

「いくら出世しても、

 もとの家柄が家柄だから世間の思わくだってやはり違う。

 またもとはいい家《うち》でも逆境に落ちて、

 何の昔の面影もないことになってみれば、

 貴族的な品のいいやり方で押し通せるものではなし、

 見苦しいことも人から見られるわけだから、

 それはどちらも中の品ですよ。

 

 受領《ずりょう》といって

 地方の政治にばかり関係している連中の中にも

 またいろいろ階級がありましてね、

 いわゆる中の品として恥ずかしくないのがありますよ。

 また高官の部類へやっとはいれたくらいの家よりも、

 参議にならない四位の役人で、 世間からも認められていて、

 もとの家柄もよく、

 富んでのんきな生活のできている所などはかえって朗らかなものですよ。 

 

 不足のない暮らしができるのですから、 倹約もせず、

 そんな空気の家に育った娘に 軽蔑のできないものがたくさんあるでしょう。

 宮仕えをして思いがけない幸福のもとを作ったりする例も多いのですよ」

左馬頭がこう言う。

「それではまあ何でも金持ちでなければならないんだね」

 と源氏は笑っていた。

 

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